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2023年12月11日

平田晃正教授が国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)議長に就任 ~ICNIRP設立以降、アジアからの議長就任は初~

発表のポイント

〇 平田晃正教授が、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の議長に就任することが決定しました。
〇 アジアからの議長就任は、ICNIRP設立以降初めてであり、平田教授の当該分野における研究成果および標準化活動が国際的にも高く評価されたものと考えられます。

概要

名古屋工業大学大学院工学研究科工学専攻(電気・機械工学領域)および先端医用物理・情報工学研究センター長 平田 晃正教授が国際非電離放射線防護委員会(International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection; ICNIRP*1)の議長に就任することが決定しました。
ICNIRPは、非電離放射線*2に関する国際防護ガイドラインを策定するため、1992年に設立された非営利独立の科学組織であり、世界保健機関 (WHO) と国際労働機関 (ILO) より公式に協力関係が承認されています。ICNIRPが策定する、電磁界、光(赤外線~紫外線)、超音波のガイドラインは、我が国やEUをはじめ世界各国の規制・勧告に採用されており、日本では、総務省が定める無線設備の技術基準や、経済産業省が定める電気設備の技術基準もICNIRPガイドラインの値を参照しています。
ICNIRPは、議長・副議長を含め、医学、生物、物理、工学等の分野の専門家14名の委員からなる主委員会(Main Commission)と各プロジェクトに参画する科学専門家グループ(Scientific Expert Group)で構成されています。選挙は、2023年11月スイスにて行われ、投票により平田教授が新議長として選出されました。任期は2024年7月13日から2028年に開催される国際放射線防護学会(IRPA)総会終了日までの約4年間です。1992年のICNIRP設立以降、アジアからは初の議長就任となります。
平田教授は、これまでICNIRPにおいてドシメトリ*3プロジェクトグループ委員長を長年務め、WHOにおけるドシメトリ技術文書の策定へ貢献してきました。特に、高周波電磁界(電波)の国際ガイドライン改定において、第5世代無線通信システム(5G)等からの電波ばく露の防護レベルの策定において主導的な役割を果たしてきました。議長就任は、名古屋工業大学における研究成果およびこれらの活動が国際的にも高く評価されたものと考えられます。

平田教授のコメント

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対象となる物理因子間の生体影響閾値、基準値により一貫性のある根拠を導出すること、さらにはガイドライン策定に至るプロセスの透明性を高めることにより、非電離放射線の安心・安全な利用に貢献していきたい。

 

 

 

 

平田教授の略歴

2000年大阪大学博士課程修了、工学博士取得。ビクトリア大学客員研究員、大阪大学助手を経て、2004年より名古屋工業大学に着任。2016年よりICNIRP主委員会メンバーおよびドシメトリプロジェクトグループ委員長を務め、2017年よりWHOエキスパートとして参画。環境電磁界、地球温暖化に伴う暑熱環境など、物理因子の生体影響に関する評価技術の開発とその結果に基づく安全基準策定に貢献している。総務省情報通信審議会電波利用環境委員会 主査、内閣官房COVID-19 AIシミュレーションプロジェクトに参加。2018年日本学士院学術奨励賞など受賞。

用語解説

*1 ICNIRP: ICNIRPの運営資金等は、すべて中立組織(EUやWHO等)からの寄付や委託費から供給されており、法的にはドイツ政府に登録されたNPOである。また、ICNIRPの委員は、すべて非営利組織の専門家から構成されている。

*2 非電離放射線: 電磁波のうち、電波、赤外線、可視光線のように電離作用を持たないもの

*3 ドシメトリ: 電磁界にばく露された人体や動物の体内において誘導される電界強度、エネルギー吸収量を測定あるいは計算によって決定すること。

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